
四千年もの昔、エジプトで妊婦に音楽を聞かせて出産の苦痛を和らげたという記録をはじめ、中国、インド、古代ギリシャなどで、音楽が鎮痛剤や精神療法のひとつとして利用されていたことが史実に残されています。長い歴史の中で、人は体験的に音楽の持つ不思議な力を生活に取り入れてきたのでした。
音楽の持つさまざまな特性について研究がはじまったのが、今世紀初頭です。まず、「生産音楽」として職場の環境整備に活用され、音楽放送の事業化がはじまりました。第二次世界大戦中に、勤労動員された工場で働く人の疲労を和らげ、事故を減少させるためにつくられたBBCの番組は、その端的な例です。
第二次大戦後は、テープの普及によって音楽が身近なものとなりました。また、音楽の持つさまざまな効用 ― 精神の安定、モラルの高揚、ストレスの軽減など ― が注目され、BGMが多方面で活用されるようになりました。その後もCDが登場するなど音響技術が進み、現代では、ショッピングエリア、レストラン、ホテル、展示場、職場、医療施設等々、BGMは社会になくてならないものになっています。加えて近年は、BGMの環境デザインとしての要素も注目されるようになっています。こうしたデザイン性は、ニュータウンの建設、店舗やレストランのマーケティング戦略などにおいて、販売の重要な要素のひとつとして認められるところとなっています。
- 1929年
- イギリスでレディフュージョン社が設立され、世界で初めてBGMの放送サービスを開始。
- 1934年
- アメリカでミューザック社、設立。
- 1957年
- 日本で最初のBGM配給会社(日本音楽配給株式会社)が設立され、オープンリールを使ってサービス開始。
- 1962年
- 「BGM」が、日本音楽配給の商標として登録される。
- 1974年
- 著作権料、物品税などの支払いに関する協議をおこなうため、バックグラウンド・ミュージック協議会を設立。(後に、日本バックグラウンド・ミュージック協会に改称)
- 1977年
- 文部大臣(当時)の認可を受け、社団法人日本バックグラウンド・ミュージック協会が発足。
- 1987年
- コムネット、日本コロムビアが独自規格のCD−BGMを発売。
- 1988年
- 当協会の規格に準じたCD−BGMが国際規格となり、BGMのCD化が本格化。
- 1990年
- 大阪花と緑の万国博覧会EXPO'90のBGMを当協会が提供。
- 1993年
- ミュージックバード、放送衛星による有料BGM放送を開始。
- 1995年
- 毎日映像音響システム、通信衛星によるBGM配信を開始。
- 1997年
- 日本レディフュージョン、POS回線によるBGM配信を開始。
第一興商、通信衛星による業務用BGM配信を開始。 - 1998年
- BGM配信事業開始。ビクターアークス、MIDI方式を採用。
- 2001年
- BGM配信事業が本格化。シナノケンシ、TWIN−VQ方式を採用。東洋メディアリンクス、日本レディフュージョンが配信用コンテンツ発売。
- 2002年
- 著作権法の改訂によりBGMの演奏権について管理開始。
- 2003年
- 著作権法の改訂によりBGMのインタラクティブ送信について管理開始。
- 2004年
- スバル・エム、IP−BGM事業を開始。
*70年代以降は、これまでの「聞くための音楽」の他に、環境のさまざまな要素をとり入れた環境音楽、心身の活性化を促す音楽療法、そしてここ数年ブームになっている癒し—と音楽の機能性が幅広く研究され、一般にも浸透してきました。こうしたことを背景に、BGMも心理効果や音響特性などの研究が進められました。